2013年~2017年夏までの5年間のかぼちゃ農業の体験をまとめました。
かぼちゃの種蒔きから収穫・出荷までの完全記録です。
そもそも農業を始める切っ掛けとなったのが、かぼちゃでした。
前島に引っ越して来て初めての夏、島で育てられているかぼちゃを食べて、その美味しさに感動しました。それまで、かぼちゃは煮物として、スウィーツとして、その味は作る人の腕前によるものと思っていましたが、素材の持つ奥深い味を感じたのです。
前島の野菜は、おいしい!!是非この手で栽培してみたい!!が始める動機でした。
就農して、キャベツを秋冬作し、その連作を防ぐ効果もあり春夏は、かぼちゃや冬瓜を作付けしました。因みにこの地域ではかぼちゃを南瓜(ナンキン)と呼んでいます。
作付けしたかぼちゃの品種は、”くりあじ”と”えびす”です。特にくりあじはその名の通り、栗のような香ばしく甘い南瓜で、自宅で食べたり知人に献上するのに作付けしました。
かぼちゃの基礎知識
基本的な知識を押さえておきます。
原産地
原産地は、アメリカ大陸(アンデス),ペポかぼちゃは南米です。
16世紀、日本(東洋)かぼちゃがポルトガル船によって大分県に持ち込まれました。
西洋かぼちゃは、19世紀にアメリカより。ペポかぼちゃはさらにその後入ってきました。
学名
Cucurbita (ククルビタ)
日本(東洋)かぼちゃ:Cucurbita moschata
西洋かぼちゃ:Cucurbita maxima
ペポかぼちゃ:Cucurbita pepo
(英)pumpkin (米)Squash (中)南瓜
科名 / 属名
ウリ科 / カボチャ属 日本では、3種類の品種が主に栽培されています。
日本(東洋)かぼちゃ(縦に溝がありゴツゴツした肌、ほのかな甘みのねっとりとした食感)
西洋かぼちゃ(つるんとした肌、甘みが強くほくほくした食感、煮物~お菓子)
ペポかぼちゃ(ソーメン南瓜、ズッキーニなども仲間)
名前の由来
日本(東洋)かぼちゃを、16世紀ポルトガル人が大分県に持ち込んだのが起源とされ、ポルトガル語で「カンボジア」の意味”Cumboja(カンボジャ)”の転訛だとされています。
漢字表記の「南瓜」は、南蛮(中国が昔、従わなかった南の国々をそう呼んでいた)から伝わった瓜という意味。関西地方では南京(ナンキン)と呼ぶところもあります。
生育環境
温度条件
・発芽温度は、25℃~30℃です。10℃以下、40℃以上では発芽できません。
・生育適温は、昼間気温の20℃~25℃、夜間気温10℃~15℃、地中適温15℃~18℃です。
最高限界気温35℃、最低限界気温8℃。
平均気温23℃を超えると果実へのデンプンの蓄積が少なくなり食感も悪く美味しくありません。
土壌
土壌は選びませんが、砂壌土、壌土で果実がたくさん生ります。乾燥にも強いです。
㏗は5.5~6.8が適しています。
形態
つる一年草。緑黄野菜
用途 / 特徴
果実を食用 / 栄養価が高く、長期保存も可能、いろいろな加工食品にも適しており万能野菜。
かぼちゃの播種・育苗期(種まき~露地植え前)
播種(1月下旬~2月中旬)
1月下旬~2月中旬まで分割して、えびす850粒とくりあじ150粒合わせて1,000粒を播種しました。
播種日は、定植する圃場の日照時間などの条件による生育期間を鑑み、圃場管理、収穫時期の計画から逆算し定植適期を設定した播種時期を分割して決めるのですが、自然相手なのでいつもハプニング付きです。
育苗の土は、種培土を使用。
手順は、1.128穴セルトレイに種培土を詰め完全灌水し
2.種を少し押し込み気味に1穴1粒入れ
3.表面に育苗培土を被せ
4.セルトレイに日光が当たらないようカバーし
5.温床で発芽させる。
ポイント
・かぼちゃの発芽温度は、25℃~30℃。10℃以下または40℃以上では発芽しないので、温床の温度設定と断熱材や毛布などで温度管理します。
・夜冷育苗:かぼちゃは単性花で温度が低いと雌花多くなることから、播種後20日~25日で本葉2枚~2.5枚の頃収穫対象の1番果が雌花分化期に入るので、夜間温度を10℃~13℃に下げて雌花分化を促します。
ビニールハウス+トンネルの育苗
発芽後は、ビニールハウス内に設けた2重トンネルを開閉できるようにした育苗床に移動します。
移植
発芽後5日ほどで本葉が生えてくるので、10㎝ポットに移植します。
ポイント
移植する2~3日前から、土入れし灌水したポットを、トンネルの中に入れ土の温度を上げておきます。
移植作業は、根を傷めないよう竹べらなどを使い注意深く。
夜間の保温・昼間のトンネル開け
2重トンネルは、夕方5時には覆いの不織布を含めすべてを被覆し、翌朝8時過ぎてから開けます。
昼間暖められ、夜間の温度はカバー出来ていました。
不織布が日を通さないので、若干着花節位低下の傾向がありました。