2018年10月初旬、産直でブロッコリの苗を販売していたので、昨年まで農業で作付けしたのを懐かしみ、品種も不明ながら購入し庭の菜園に植えてみることにしました。
2019年1月、品種は中早生のものだったのでしょうか、食べごろの花蕾が幾つも出来ていました。
早速茹でて食べてみると、お気に入り品種のトップギアに似ていて喜んでいます。
2019年3月10日 まだまだあります!!
蕾も大部膨らんできて、アントシアンも出てきましたが、まだまだ美味しく食べられます。
収穫した跡から、このように脇芽が出てきました。これもまた美味しく食べられます。
2019年4月5日 花にミツバチがやって来ました。
ブロッコリーのデータ
基礎知識
原産地 :地中海
学名 :Brassica oleraceavar.italica (英)Broccoli
科名/属名: アブラナ科/アブラナ属
形態 :緑黄野菜
草丈 :50㎝~1m
名前の由来:”茎”と言う意味のイタリア語である「brocco」が由来。
用途・特徴:花蕾を食用、鑑賞用・キャベツ、カリフラワーと同様に収穫せず放置すると黄色やクリーム色の花をたくさんつける。春播き、秋播きがあり秋播きは比較的育てやすい。
ブロッコリ農業体験記│トップギア(中早生)
2018年、就農中最後のブロッコリ栽培の体験記事です。
品種は、トップギア(中早生)という、「濃緑花蕾で肥大性に優れる中早生種」とメーカー「タキイ」のカタログに特色をあげているとおり、見た目も健康そうな鮮やかな緑色で、食感は”ほくほく”、味は甘く栗のよう、茎も繊維を感じず柔らかです。育て易くとても気に入り、毎年キャベツの傍らで作付けし出荷しました。
播種・育苗(8月初旬)
播種
8月初旬、14パレット(200穴/1パレット=2800粒)を播種。育苗の土は、与作N-150(全農が販売)を使用。手順は、➀パレットに育苗培土を詰め完全灌水し➁種を1穴1粒入れ③表面に育苗培土を被せ④パレットに日光が当たらないようカバーし⑤周囲の積算温度にもよるが大体1日半後に発芽が始まるので⑥育苗台に移動。
育苗環境
➀育苗箱を直置きしないようブロックと垂木で育苗台を設ける。➁真夏の直射日光で苗が焼けないよう寒冷紗等で和らげる。③防鳥のためネットで保護。④苗箱全体に均等に日が当たるよう数日毎に位置入れ替え。
灌水(水やり)
水やりは、定植まで毎日朝晩、土が乾かないようにやる。育苗培土によって、水持ちに違いがあるので注意が必要。
防除
8月中旬、コナガが発生したため、アディオン乳剤を散布。定植前日に予防のためベリーマークSC+オラクル粉剤を灌注。苗は、虫、鳥、菌、ウィルスなど敵が多いので毎日監視し、異常があれば即対処しないと全滅の恐れがあり、育苗は手を抜けない大事な工程。
露地栽培
土壌調整と圃場準備(8月初旬)
土壌診断の結果:JA岡山の働きかけで土壌診断を受けた結果、pHは高く、石灰、リン酸、カリが過剰、微量要素、腐植が低水準であった。これは、この地域の鶏糞の積年の慣用によるもの。鶏糞は窒素の肥効が高く、葉物野菜がよく育つので安価で効果的な肥料として多用されたのだ。また、石灰の連用も高い。
私の借用した圃場も例外に漏れず、また、農業の師匠は鶏糞を人一倍多様する人だった。
改良点:鶏糞使用の中止、牛糞への切り替え、苦土石灰の散布を減少させ実施。
天地返し:プラウがないので、ロータリーで深耕。
溝切:前島の圃場は大半が、傾斜地で雨水の逃げ道を設けておかないと大雨で畑が流れる。
定植準備と基肥(8月初旬~中旬)
除草:圃場の縁に除草剤バスタを散布。
基肥:8月初旬、牛糞500㎏/10a。8月中旬、化成肥料(14-14-14)100㎏/10a、微量要素30㎏/10aを圃場全体に散布し、ロータリーで耕うん。
定植(8月末)
定植:畝間55㎝、株間30㎝で植え付ける。
防除:ヨトウムシ、ネキリムシ予防のダイアジノンを圃場の縁近く1m帯状に散布、ナメクジ予防にスラゴを圃場の縁に散布。
灌水:スミサンスイ(灌水チューブ)にて、1時間30分程度充分に水やり。ただし、定植の直近に雨が降り土に十分水分を含んでいる場合は灌水しない。
灌水、草取り(定植後)
灌水:定植後2週間日照りが続いた場合に、スミサンスイで灌水する。前島では、8月は全く雨が降らないが、9月は雨が降りやすいため、定植後に灌水した経験は1度のみ。
前島の名人:ユウジさんに水管理を教えて頂いた。「土を10cmほど堀起こし、片手で握って固まれば土の水分は大丈夫、ばらけ落ちる様なら水やりが必要。」勿論土壌にもよるが、長年の経験が物語る良い教え。要は、無闇に灌水すると発育不良や病害の素ということ。
草取り:雑草は作物の成長を阻害し、害虫の棲家を与える。露地野菜の農業は雑草との闘い。雨の後は芽吹いた草をこまめに抜くことが必要。(私には出来なかった)
病害虫防除初回(9月中旬)
農薬散布:ファルコンエースフロアブル 希釈2000倍 100ℓ/10a コナガ、ヨトウムシ、アオムシの防除
9月は、害虫のピーク。毎日圃場を見回り、見つけたら即対処が必要。圃場内、圃場周辺の雑草も害虫の温床となるので小まめに草刈りを実施。
害虫は、ネキリムシ、ハスモンヨトウ、コナガ、キスジハムシ、ハイマダラメイガ、オオタバコガ、アブラムシ
農薬は、収穫までの使用期限(農薬の残存期間)、使用間隔、回数制限、希釈を確認し必ず守る。
病害虫防除2回目(9月下旬)
農薬散布:➀アディオン乳剤 希釈2000倍ー100ℓ/10a アブラムシ、コナガ防除、➁ダコニール1000 希釈1000倍-100ℓ/10a べと病などの病害防除
台風等による大雨の後は特に、べと病、軟腐病、黒腐病、菌核病、萎黄病などの病害が発生し易いので、水利の管理、ダコニール1000、フォリオゴールド、バリダシン等の防除が必要。病気が発生した圃場は、収束後次の作付け前に土壌消毒などの対策することが大事。
追肥・中耕(9月下旬)
追肥、中耕:スミカエース1(化成18-10-14)100㎏/10a、アグリハーモニー(微量要素)20㎏/10aを畝間に帯状に散布し、管理機(小さな耕運機)ですき込む。
土寄せ:畝幅に合わせて土寄せ機を管理機にセットし、ブロッコリーの株元に土寄せする。病害の予防、雑草の抑制、作物の動揺を押え強く育てる効果がある。
スミカエース1号成分:窒素全量18%、アンモニア態窒素10.5%、硝酸態窒素7.5%、りん酸10%、カリ14%、DCS0.3%
病害虫防除3回目(10月初旬)
農薬散布:ランネート45DF 希釈1000倍ー100ℓ/10a アブラムシ、コナガ防除
毎回違う種類の農薬を使用する
病害虫防除4回目(10月下旬)
農薬散布:➀プレバソンフロアブル5 希釈2000倍ー100ℓ/10a コナガ、ハイマダラメイガ防除 ➁ダコニール1000 希釈1000倍-100ℓ/10a べと病などの病害防除
最後の防除。11月に入ると害虫の活性は下がる。ただし、黒腐病、菌核病は翌年まで病害するので要注意。
収穫の2か月前で、薬剤の散布を終了。後は、ヒヨドリの襲来や、病虫害発生を見回りながら、花蕾が大きくなるのを待つ。
前島では、渡りのヒヨドリ集団がキャベツの収穫頃を見すえて襲来する。主な鳥害を受けるのはキャベツだが、ブロッコリも外葉を食べて、花蕾に糞をしていくので要注意。
収穫(12月中旬)
12月中旬から、収穫開始。油断すると花蕾の出荷規格を超えて大きくなり過ぎたり、アントシアニンが出て出荷出来なくなるので、毎日のように見回りが必要。ただし、アントシアニンで紫になったら出荷出来ないが、茹でると鮮やかな緑になり反って美味しい、これ生産者の特権!!。シーズン中は、嫌と言っても毎日食卓にブロッコリーが載る。