ユズは、「冬至に柚子湯に入ると風邪をひかない」と言われていますが、香りは心を落ち着かせ、食しては体に良く作用し、重宝する柑橘なので何本か植えています。ここ瀬戸内海の離島では柑橘がとても馴染んで病気もなくよく育ちます。
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ユズ(柚子)の四季
夏
2018年8月25日撮影
冬
2018年12月9日撮影
ユズ(柚子)のデータ
基礎知識
原産地
中国、揚子江上流の原産と言われています。
日本では飛鳥時代には栽培されていたそうです。現在では、高知の生産が突出して多く四国や九州などで栽培が盛んです、また、強い耐寒性から東北でも栽培可能です。
学名
Citrus junos(シトラス・ユノス)ユノスは日本の四国で古くに呼ばれた「ユノス(柚の酢)」に由来しています。
(英)yuzu
(別)ホンユズ(本柚子)、ホンユ(本柚)、ユ(柚)、ユノス(柚の酢)
科名 / 属名
ムクロジ目 / ミカン科 / ミカン属ユズ種
名前の由来
中国語の「柚の果実」という意味で「ユウヅィ(柚子)」の言葉が平安時代に日本に入り、「ユズ」と呼ばれるようになりました。
ユズ(柚子)の柚は、漢字のツクリにある由にいろいろ意味がありますが、そのなかでも漢字の形からもわかるように「狭い一点を通り」という意味があります。そして「柚」は「きへん(木)」を組み合わせて「果肉からたくさん汁が通り出てくる木」となり、「ザボン、ブンタン」という柑橘系の果物を意味していました。「柚」の漢字が日本に入ってきた際に「ザボン、ブンタン」ではなく、「ユズ」に当てられたてしまったようです。中国ではユズは「香橙」と表記するそうです。
品種
ホンユズ(本柚子):
中国原産の柚子で、日本国内の栽培された地域などで3つの系統に種別されています。
①「木頭系」:徳島県木頭村で栽培され、香りが強く皮が厚い。
➁「海野系」:徳島県の海野農園で栽培され普及した。
③「山根系」:徳島県阿南市の山根さんが栽培した。早生種で100g程度の小粒。種なし、棘が少ない「タダニシキ(多田錦)」が人気。
ハナユ(花柚):
ゆずの近縁種。日本原産の柚子と言われています。「ハナユズ(花柚子)」、「イッサイユズ(一才柚子)」、「トコユ(常柚)」とも呼ばれます。果実が50g程度と極小で薄皮。果実はホンユズ(本柚子)に比べて香りが弱いが、花の香りは強い。
ユコウ(柚柑):
ユコウ(柚柑)は、スダチ(酢橘)、カボス(香母酢)、と同じ香酸柑橘類。クネンボ(九年母)と柚子の交配種と言われている。果実は偏平形で140g程度。ポン酢の原料に用いられています。
シシユズ(獅子柚子):
シシユズは別名オニユズ(鬼柚子)、ジャガタラ柚と呼ばれ、果実は皮がごつごつしていて500g~1㎏と特大で、ザボンやブンタンの仲間であって、柚子の品種ではありません。
形態
常緑低木
樹高
1m~2m
開花時期
5月~6月
耐寒性 / 耐暑性
強い / 普通
用途
食用、鑑賞用
特性
ユズは、耐寒性が強く、病気にも強いため無農薬で栽培がしやすいですが、種から育てると結実までに十数年かかるようです。生長が遅いことから「モモ・クリ3年カキ8年ユズの大馬鹿18年」と言うそうです。自家結実性。
ユズ(柚子)の栽培メモ
ふやし方
接ぎ木:3月中旬~5月、8月が適期。ユズは、生長が遅いので接ぎ木でふやすのが一般的です。種から育てた苗木やカラタチを台木にします。
栽培環境
日当たりのよい場所。
土づくり
鉢植えの場合、赤玉土小粒7:腐葉土3を混ぜたものなど。土はあまり選ばない。露地植えは、大きめに掘り上げた土と腐葉土を混ぜて埋め戻す。
植え付け
3月中旬~4月中旬が適期。鉢植えの植え替えは、通気のため2年~3年に1回必要。
水やり
鉢植えの場合、土が乾いたらそこ穴から流れるくらいみずやりします。露地植えの場合は、必要なし。
施肥
露地植えは、3月、6月、10月に有機肥料、鉢植えは3月、6月、10月に緩効性化成肥料か有機肥料を株元に追肥。
摘果
7月中旬~8月中旬が適期。実が多いときは摘果します。
収穫
9月下旬~12月下。旬実が黄色熟しまだ少し緑色が残っている頃からが収穫時期です。熟したまま放置すると翌年の実のつき方が少なくなります。
剪定
3月が適期。
苗木が1年~3年の小さい時期は、剪定を控え成長を待ちますが、成木になっても放置すると管理・収穫が難しくなってきますので剪定が必要です。
3年目で主要枝を見極めて3本程残し先端を少し切り戻し、翌年に主枝を横に拡がる様に誘引します。
開心自然形仕立てという樹高を抑え横に分散する樹形を目指し、管理と収穫をしやすくします。
剪定は強く行うほど枝葉が少なくなり樹勢を弱めることがあるので、枯れ枝、下垂枝、夏秋梢、混みあい枝を適切に剪定し、徐葉率20%以下に留めます。また、不要枝を剪定する時、根元を残すとそこから枯れてしまうことがあるので付け根から切り取ります。
柑橘類のその年に伸びた枝(1年生枝)は、春枝の果梗枝(注)、摘果枝(注)、発育枝(注)があります。もとの樹には果梗枝、摘果枝、発育枝が混在しています。その年の花数は少ない状態ですと発育枝の発生が多いので翌年は花数が多くなります。
隔年結果している場合の着果が多い予定の表年には、花数を減らす剪定(予備枝剪定)を早めて強めに行い、裏年には剪定を遅らせ弱剪定を行うことで新梢伸長を抑制し、来年の春枝を充実させ安定に向かわせます。
輪状芽:切り返しした付近に春芽と夏芽の境に当たる輪状芽という節がある場合は、その下で切ることで強い芽を吹かせることができ、数本の発育枝となりますので樹勢回復や骨格形成の剪定として行います。また、10月中旬に輪状芽の先で切ると春芽が多く発生し、結果母枝となり着果が見込まれます。
*注釈
果梗枝:前年に果実を成らせた枝、来年は花が着かず発育枝となります。
結果母枝:そこには花が着かず結果枝が発生します。
結果枝:そこに花が咲き、実を結びます。
病害虫
ユズは、病害虫に強い品種ですが、以下は柑橘類の共通するものなので列記しておきます。
黒点病はかびが原因、枯れ枝に作られた胞子が、雨のたびに流れ出して感染する。切り株や放置された剪定枝からも胞子が飛んで果実に感染するので、病気になった枝等の処分が肝要。果実への主な感染時期は、梅雨や秋雨など長雨の時期。この時期に防除薬剤、マンゼブ剤(ペンコゼブ水和剤、ジマンダイセン水和剤)の予防散布。マシン油の混用も効果あり。
そうか病も、かびが病原菌で、葉の病斑で越冬して、雨が降るたびに伝染する。5月下旬の花が落ちたころから7月下旬までに雨が多いと発生が多くなる。防除は、雨が降る前からペンコゼブ水和剤やデランフロアブルなどの保護剤を定期的に散布する。落弁期は、果実への感染を防ぐのに大切な時期であるので、ストロビードライフロアブルやマネージM水和剤などを使用する。
ミカンサビダニは成虫が芽の隙間で越冬し、6月中旬から7月上旬にかけて葉での寄生が多くなり、その後果実への移動を始め、10月〜11月頃に果実での寄生が最も多くなる。このため、果実への移動を開始する6月下旬頃に防除。サンマイト水和剤やダニカット乳剤20。
アザミウマ類、果実への障害を与える害虫としては、チャノキイロアザミウマが最も厄介である。年間発生するが夏に何回かのピークがある。コテツフロアブルやスピノエースフロアブル、ダーズバンDF、ハチハチフロアブルなど。
カイガラムシ類は発生を確認したら、すぐにスプラサイド乳剤など有機リン剤を散布する。また、冬季のマシン油散布は、カイガラムシ類防除に加え、他の越冬害虫にも効果がある。