Like
Like Love Haha Wow Sad Angry

検索すると瀬戸内海沿岸のスイセン群生の画像がたくさんヒットしますが、ここ前島でも繁殖しています。
前島に春を告げる大事な情景の1つになっています。

スイセン(水仙)の四季

スイセンは、夏から秋にかけては休眠期で地上の姿を見ることはありませんが、12月になるといつの間にか芽を出し、3月になると春を告げるように一斉に花を咲かせます。

2019年3月22日 自宅の敷地に自生しているスイセン。

narcissus_20190322_101055 (800x798)

 

スイセン

2019年3月22日展望台への途中の道で咲いていました。
narcissus_20190322_100015 (800x461)

narcissus_20190322_100635 (800x463)

 

スイセン(水仙)のデータ

基本情報

原産地

スペイン、ポルトガルを中心に北アフリカ沿岸を含めた地中海沿岸。

日本には、中国を経由して室町時代以前に禅僧によって渡来した説、平安時代以前に海流に乗って漂着した説など諸説あります。
越前海岸の梨子ヶ平付近、淡路島の灘黒岩水仙郷が有名な群生地になっています。

学名

Narcissus(ナルシス)

学名の元になったギリシャ神話のナルシス(ナルキッソス)は、水鏡に写った自分の姿を愛してしまった美少年。ナルシスは、傲慢と無常から女神アプロデータやネメシスの怒りを買い誰から愛されても成就できず、彼も誰も愛せないただただ自分のみを愛するように呪いをかけられました。ナルシスは自己愛主義(ナルシズム)の語源となっています。

≫ more

粗暴な性格の河神ケピソスは美しい水の妖精レイリオペに恋をし、無理やり川に引き込み生まれたのが、絶世の美少年ナルシス(ナルキッソス)でした。盲目の預言者テイレシアスは占って「己を知らなければ、長生きするであろう」と予言しました。

美少年ナルシスは、女性だけではなく男性も恋に落ちてしまうほどでしたが、自分の美しさにうぬぼれて16歳になっても若い娘たちに目を向けることはありませんでした。

美しい妖精エコーは、ある日ナルシスを見かけて、一目惚れしてしまいました。
しかし、ゼウスの妻の女神ヘラから罰を受け自分からは話せず、許されたのは他人の言葉をオウム返しに繰り返すだけです。
エコーは、彼に必死にアプローチするのですが、オウム返ししかできずどんなにもどかしかったでしょうか。ナルシスは、そんなエコーに嫌気を差し残酷な言葉を言い捨て去っていきました。

エコーは、ナルシスへの報われぬ思いに身も心もやつれ、骨は石となり、姿を失い声だけが残って木霊(こだま)になってしまいました。
ナルシスは、エコーだけでなく他の妖精たちにも冷酷な仕打ちをしていました。その妖精達によって、ナルシスにも自分達と同じ身を焦がすような恋を叶わぬ恋をさせよと神に祈り、憤りと罰の女神ネメシスは、ナルシスのエコー達への酷い仕打ちを見ていて、妖精たちの願いを聞き入れナルシスに罰を与えました。

ナルシスは山奥の泉に呼び寄せされたのです。レシアスの予言が迫っていることを知る由もなく、ナルシスは、のどの渇きに泉の水を飲もうと水面に顔を近づけると、中に絶世の美少年がいました。もちろんナルシス自身の姿だったのですが、一目で恋に落ちてしまい、水に触れることも出来ず、ただ見つめるだけです。自らの姿を愛してしまい、その影を触れることも許されない、水面に触れれば波紋で姿を失うからです。何日たったでしょうか、水面に映る自分の影を見つめているうちに力尽き、泉に落ちて死んでしまいました。
その泉のほとりに水面に花の顔を傾けるスイセンが咲いていました。

≫ close

水面に首を垂れてわが身を移すスイセンを見てナルシスの神話が出来たのでしょうか。ナルシスの完成された孤独、純潔がナルシシズムに通じるものなのでしょう。

(英)narcissus
(別)セッチュウカ(雪中花)

科名 / 属名

キジカクシ目 / ヒガンバナ科 / スイセン属

品種

地中海沿岸の原種を初め園芸品種などたくさんの品種あります。以下は代表的な品種になります。
ラッパスイセン(喇叭水仙):1茎1花、副花冠と呼ばれる中央部分がラッパのように突き出ています。ニホンスイセンより遅れて4月~5月に咲きます。
オオバイスイセン(大杯水仙):1茎1花、副花冠が花弁の1/3以上と花弁が短い品種。
コバイスイセン( 小杯水仙):1茎1花、副花冠がオオバスイセンより短い。
ヤエザキスイセン(八重咲水仙):副花冠が多弁化している品種。花弁は6枚で他と同じです。
フサザキスイセン(房咲き水仙):1茎多花。前島で旺盛に自生しているものと同じ思われる。日本水仙はこの変種。
ジョンキル・スイセン:園芸品種、1茎多花。
トリアンドラス:園芸品種、1茎多花、花弁が反りかえる特性。
キクラミネウス:原種、1茎1花、長い副花冠と反り返る花弁が独特でシクラメンのよう。
ミニ水仙テータテート:1茎1花、園芸品種、矮性品種(草丈10cm~20cm)。

名前の由来

「水仙」は中国の古典「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」に由来して、花姿の美しさと香から「水仙」と名づけられました。スイセンは音読みです。

形態

多年草

草丈

10cm~50cm

開花時期

12月~4月

耐寒性 / 耐暑性

強い / ー

用途

鑑賞用:鉢植え、庭植えとして。
薬用:鱗茎部で消腫薬としてでき物などに用いる。

特性

花の標準的な形態は、雌蕊(めしべ)1本、雄蕊(おしべ)6本、6枚の花弁に見える外3枚はガクで内側3枚が花弁これらを合わせて花被片(かひへん)と呼ばれています。中央の筒状部分を副花冠(ふくかかん)と呼ばれています。夏は休眠期になり地上にはなにも残りません。草全体に毒性があり、特に鱗茎という地下茎が強い。成分はリコリン、タゼチンなどのアルカロイドの一種で、摂取後30分で悪心、嘔吐、下痢、頭痛などの食中毒症状を起こします。ニュースでよく耳にするのが「ニラのすぐそばに生えていて混同して収穫してしまった」です。植える場所には注意したいものです。

栽培メモ

ふやし方

分球:球根を夏に掘り上げて、球根が幾つもついていたら手で分けます。

栽培環境

日当たりのよい、腐植質に富んだ水はけのよい砂質の土を好みます。

土づくり

培養土7:腐葉土2:堆肥1を混ぜたもの等。水はけがよく適度な保水性のある土。

植え付け

9月下旬~10月上旬が適期。球根の植え付けは深さ10cm程度、株間20cm程度で球根を植え付けます。

水やり

露地植えでは水やりはほぼ不要です。鉢植えでは、土の表面が乾いたら水やりします。

施肥

植え付け時の基肥に緩効性化成 。芽が出たら液肥を施します。花後にお礼肥として化成肥料を上からパラりと施肥します。

花がら摘み

花が終わったら茎の根元から切り取り、子球を育てるために葉は残します。

病害虫

アブラムシ:アブラムシなどを媒体にしたモザイク病が発生することがあります。温かくなる4月ごろ咲く花にアブラムシがつくので防除を行います。

軟腐病:水はけが悪いと大雨の後などの気温が高いときに軟腐病が発生し枯れてしまいます。畝を高くしたり水を逃がす溝をつけたり対策します。