農業体験記2│就農支援資金制度を利用する
第2回は、初回でお話しした「国の就農支援制度」を実際に利用してみた申請から認定され出資されるまでの一部始終をお話ししようと思います。
注意:この記事に出てくる制度は平成25年のものですので、最新の情報は農林水産省のホームページをご確認頂くようお願いします。
目次 ≫
なぜ就農支援資金制度か?
もちろん自己資金が十分にあれば問題ないですが、農業をゼロから開始するにはいろいろな設備や道具が必要になります。中古品を探して揃えて行こうと思っていましたが、農業の師匠と呼び始めた人から『覚悟があるのならトラクターは新車で買えっ!』と言われ、若干意地にもなっていたのでしょうか。
そんな時、ネットで見つけたこの制度、無利子、無担保で返済期間12年、使わない手はないと思ったのも確かです。
支援資金制度の申請はどこに?どのように?
実際に就農支援資金制度の申請は、どこにどのようにすればよいのか、まずは、農協で教えて頂いた県庁の担当部署を訪ねました。
申請スケジュール作成
訪ねたのは、岡山県備前県民局/農林水産事業部/岡山農業普及指導センター/経営・担い手班 という部署でした。
担当の方は、懇切丁寧に制度の主旨、手続き方法、認定基準を説明頂き、私の農業を始めたい時期とそれに合わせた資金調達の期限を基に関係部署との調整を行い、申請スケジュールを作成していただきました。
頂いた資料が紙で残っていたのでスキャンして添付折込しておきますので、興味ある方は開いてご覧ください。
>> 説明頂いた制度の資料
就農支援資金の概要
就農計画の認定制度
就農計画を作成できる者について
>> 閉じる
手続きの流れ
農水省 就農支援資金制度パンフレット抜粋
スケジュール
2013年9月の秋冬に野菜の作付けから営農を開始したいと思っていましたので、それに合わせて申請スケジュールを作成して頂きしました。開始まで4カ月でしたので詰め込みになっています。
①就農計画の作成・申請
2013年6月14日 就農計画を作成し瀬戸内市へ提出(申請者)
2013年6月20日 瀬戸内市から県庁県民局へ意見書を添えて転送(市役所)
2013年6月最終週 ➁就農計画認定審査会 承認(審査会)
⇩
③就農施設資金借入申請・審査
2013年7月上旬 就農施設等資金事前協議書作成、JAへ提出(県民局)
2013年7月下旬 事前検討会(県民局主催)
2013年8月上旬 就農施設等資金借入申請書作成、JAへ提出(申請者)
2013年8月下旬 資金運営会議(資金運営主催)
2013年8月末 ④貸付決定
2013年9月上旬 資金による施設・機械購入(申請者)
就農計画の作成・申請
先ず就農計画を作成し申請しなければなりませんが、農業を始めるのにどんな施設や機具が必要なのか、材料費はどのくらいなのか、収支は等々、全く見当もつきません。ゼロから勉強です。
就農計画の作成
資本装備│どんな施設・機器が必要か?費用は?
前島でキャベツやかぼちゃを生産するためにどんな施設や機器が必要か勉強しました。
次のリストは岡山県の平均的な野菜農家の装備品です。高額なものが多く、もし全部新品で揃えたら1,300万円~1,400万円の予算が必要になります。
建築・構造物
作業場兼出荷倉庫: 最低100㎡は欲しい。新規構築で500万円~(耐用24年)
育苗ハウス : 最低100㎡は欲しい。鉄パイプ等20万円~(耐用10年)
農機具
トラクター 1台:400万円
ロータリー 1台:45万円
マニュアルスプレッダー 1台: トラクタけん引タイプで40万円
ブロードキャスター 1台:24万円
フレールモア 1台:50万円
ホースリール付動力噴霧器 1台:25万円
畝たてマルチシーダ 1台:35万円
全自動移植機 1台:110万円
管理機 1台:20万円
軽トラック 1台:90万円
背負い動力噴霧器 1台:除草剤等 5万円
刈払機 1台 :畔の草刈り12万円
鎌、鍬、鋤簾(ジョレン)、レイキ等
灌水チューブ+ホース
収穫袋 100袋
私の資本装備(始められる最低限に絞る)
今まで乗っていたRV車を売って農仕様の軽トラックを買ったり、師匠の家の装備品を使わせてもらったりで、最低限に絞り込んで、とにかく農業を始められる最低限の装備品を揃えることにしました。
ただし、トラクターは師匠にあおられ意地になり、資金支援制度を使った新車を揃えます。
収支計画│5年後の所得200万円以上が条件
どれ程の耕地面積でどれくらい売りあがり、経費はどれ程かかり、どれだけ働けばよいのか?
さらに生々しい試算をせねばなりません。
しかも、農業経験のないものにとってすべてが未知数でした。
そこは、県の農業普及指導センターです。あらゆるデータが蓄積されていて、詳しくご指導いただきました。
試算は、実際に前島で確約している借地20aを起点に、今後5年未満に耕作放棄地及び予備軍を目当てに50a以上を借用し運営する5年計画を立てました。
作物はもちろん、作りたかったキャベツ、かぼちゃ、3年目に冬瓜(とうがん)を始める計画です。
販路は、農協経由です。
所得計画は、初年度はマイナスですが5年目には225万円という試算結果となりました。
実際にはどうだったかは、また別の記事でお話ししたいと思います。
キャベツ収支試算表
かぼちゃ収支試算表
冬瓜(とうがん)収支試算表
就農計画の認定
瀬戸内市に申請書を提出
県の農業普及指導センターの職員の方々に何度も内容を見て頂き修正を重ねて、就農計画を完成させ、まず瀬戸内市の産業建設部産業振興課に規定の様式にまとめ提出しました。
>> 就農計画認定申請書
>> 閉じる
瀬戸内市から県庁県民局へ意見書を添えて転送
瀬戸内市では、申請書の内容を確認し、申請者が農業振興上適合しているかの審査と経歴確認のため過去に勤めていた会社に連絡しエビデンスを作成の上添付して県庁の県民局に転送します。
>> 市役所のエビデンス
>> 閉じる
就農計画認定審査会の開催と認定
県庁県民局主催で審査会議が招集され、関係部署のお役人や農協の関係者が出席し、申請者である私は、就農に関する意気込みや計画の内容を説明しました。申請者への質疑応答のあと退出させられ、審査されたのでした。
数日後、認定された旨連絡がありました。
この後県庁県民局は「就農施設等資金事前協議書」を作成し、農協に提出し事前検討会が開催されます。
この事前検討会でも申請者の私が招集され説明と質疑応答を行いました。
県の農業制度資金運営会開催
申請者は、「就農施設資金借入申請書」という就農計画をベースにした資金の借入の対象となる設備の必要性、借入金の返済計画などを規定の書式に記入し提出します。
>> 就農施設資金借入申請書関係の書式
>> 閉じる
これによって、運営会議が開催され、資金の利用が妥当か審議されます。
融資決定
最終的に県の農業制度資金運営会議で審査され、融資が決定され、お金が振り込まれます。
6月14日に申請してから振り込まれたのは、9月20日と3カ月かかりました。
最後に、振り込まれる折に保証金として約10万円徴収されました。
まとめ
この制度を使ってみて、書類もたくさんあり、何度も役所に出向いて説明したりと大変でしたが、返済猶予が3年あるし、全体で12年の長期返済期間のうえ無利子、無担保は大きな魅力だと思います。
なによりのメリットは、就農計画が有識者のアドバイスと評価もして頂けて自信をもって農業を開始できるという点だと思います。
初めまして、しまねっこと申します☆*°
来週前島の民宿に泊まり釣りも出来たらなぁと思い、色々調べていた所こちらにたどり着きました。私自身土いじりが好きで仕事をしながら主人の実家に畑があり休みのときで尚且つ時間がある時しか畑をしておりませんが、これを本業にしようとしたら体力や気力が持たないかもしれない、と、ブログにて大変勉強になりました。野菜作りが好き、だけでは成り立たないですね、、貴重な情報発信ありがとうございます。
今後もブログ内容がとても勉強になるので立ち寄らせて頂きたいと思います。
また、腰を痛めている中質問して申しわけないのですが、今は釣りはされていらっしゃいますか?
この時期キスが釣れるのかなと思いながらも、
場所が旧フェリー乗り場で釣れたという話がネットで見つからず、せっかく素敵なこじんまりした砂浜があるのにな、と残念に思っています。やはりキス釣りはサンビーチに行かなければなりませんかね?
子供でもチョイ投げでできてキス釣りができたり、夜に釣るとしたらどこか良い場所があれば、お時間宜しければお返事いただけると嬉しいです。
長雨でこちらの住まいの果樹はあまり出来がよくなかったり、しかしキュウリやカボチャは元気に育ったり、自然相手は大変ですがやはり野菜作りは、良いものですね☆*°
しまねっこさん
はじめまして。
内容も貧弱な独り言のブログを見て頂き、ありがとうございます。ご丁寧なコメント感激です。
農業については、私は全くのゼロスタートでしたのでいろいろな障壁があり、体も壊してしまいあまり参考にならないかもしれませんが、もう一度40歳代~50歳代に戻れたら今度は成功出来るだろうなどと思っています。
この短い農業体験ですが、経験したことをマイペースで書いていこうと思います。定期的にはとても更新できていませんので申し訳ありません。
キス釣りですが、私たち夫婦が何匹か満足いくサイズを釣ったのは、9月に入ってからですが、普通でしたらこの時期、砂浜を見つけて少し投げれば必ず何匹か釣れています。ただ、今年の天気ですが、雨続きの上低温続きで、自信もって大丈夫と言えません。
旧フェリー乗り場ですが、釣りマニアの方々が何人も徹夜で釣りをするメッカ的ポイントだと思います。ただ、ブログを書くような人ではないので見つからないのかもしれません。家族連れに釣りでも、波止めの割れ目でメバルやカサゴを釣り上げたりしているのをよく見ます。もちろん、ここの浜で妻はキスの良型の実績があります。私はその時は、小さなアナゴばかりでした。
釣り場は、サンビーチ以外にも家族連れで降りれる場所がいくつかあります。
1つは、民宿「南風荘」に行く道を駐車場に入らず、左にヘヤピンカーブを曲がりくねくねの農道を浜に降りていくとポイントです。
ここは、農家さんが作業されていると止めた車が邪魔になることがあるのでお声かけしてくださいね。
もう1つおすすめは、スナックアベニューの斜向かいの空き地に車を止めて、深緑の屋根の家の空き地側の脇道を下って、岩場を下って降りていくと右側が浜、左側が岩場の名ポイントです。岩場を降りる時が少しスリリングですので気をつけてくださいね。
お子さんと夜釣りでしたら、安全を考えて新フェリー乗り場の桟橋部分と波止めが10時までは照明がついているので良いと思います。
私たち自身が、このところ釣りに出れてないので情報不足ですいません。ご案内できれば良いのですが、このところ混み入っており入れ違いで出かけているかもしれません。
是非、前島を楽しんでください。